二〇二五年三月
春の訪れを告げる弥生三月は、その名の通り「弥生(いやよい)」が変化したものとされています。「弥(いや)」は、ますます、いよいよ、と言った意味、「生(おい)」は草木が生い茂ることを示し草木が芽吹く季節であることを示しています。
格花
椿
艶やかな厚手の葉の間からぽってりとした存在感のある花を咲かせる椿は、いけばなだけでなく多くの愛好家に親しまれています。枝ぶりは単調なものと動きのあるものと極端に違いがあるので、花材の見立てが肝心です。

格花
桃
三月の花と言えば桃を想像する方が多いと思います。若い枝は揉(た)めが戻りやすく、滑るため挿け難い花材として知られています。直線の枝が多いので、あまり曲を作らずそれらを生かす姿が良いと思います。

新花
枝垂れ柳 雪柳
大きく垂れる柳は広い空間には便利ですが、狭い場所では工夫が必要になります。枝を結んだり絡めたりしながらまとめていきました。奥に挿れた雪柳が、程よい存在感を示したように思います。

新花
椿
椿の一種挿けは、未生流に限らず多くの華道家たちに挿けられています。あまり少なくすると茶花のようになり多く挿れると風情がなくなるので、なかなか難しい花材です。今回は太めの木があったので、それを生かして器と調和させて挿れてみました。
