未生流

の花

二〇二四年十一月

霜が降り出す月とする霜月十一月は、秋の収穫を神様に感謝する祭が執り行われたことより、「食物月(おしものづき)」と呼ばれていたものが訛ったものとも伝えられています。

格花
登猿

根元七種の「寸渡」の変化として考案されたこの登猿は掛けても置いても使えますが、上口は旅枕で非常に狭いため使える花材が限られてきます。今回の蔓梅擬は丁度良い花材で、細く長くて足元素直なところが適しています。下口の茶の木はあまり大きくせず引き締めて挿れました。

格花
石化柳

この柳は茎が帯化し曲のある枝が多いため上手くいくと面白い作品になりますが、通常の柳ほどの揉(た)めが効かないので、まとまりにくい場合もあります。比較的大きく挿れる方が収まりが良いように感じます。華やかさに欠けるので、留奥にでも草花をあしらう方がより良く見えます。

新花
紫式部、野茨、丸葉の木

紫式部の鮮やかな紫は他の実には変え難い美しさがあります。今回のものは特に鮮やかな気がします。この紫にはまた紅葉との相性が良く、比較的小葉のマルバノキが足元を引き締めました。

新花
フォックスフェイス、鉈豆、スモークツリー

フォックスフェイスはとても重たく真横に寝させるか真っ直ぐ立てるかが挿けやすい花材ですが、今回は後者にしました。ナタの様な縦長の実が良いアクセントになり、ドライのスモークツリーも少し色が残り秋らしく感じます。

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